瓦練塀と石練塀


【データ】
■場 所:高知県安芸市 安芸市土居廓中伝統的建造物群保存地区
■時 代:不明
■採 集:2021年9月26日

 野面積の基壇の上に玉石による石練塀と瓦練塀が連続する。
 基壇石積みの隅は、大きめの割石。練塀部分も瓦で角を綺麗に作り出している。
 塀の隅は瓦、中央部分は玉石という具合に使い分けたか?

 塀の上部は瓦葺。瓦の下には持ち送り状に土壁が付けられている。

 本来は、表面に土壁が付けられ、漆喰が塗られていたのかもしれないが、現状ではそれらの痕は残っていない。外に露出した土壁・漆喰壁は破損も早い。高知県の雨は激しい。強い雨によって破損した漆喰壁はすぐに剥がれ落ちてしまう。雨水は表面だけでなく石と石との間の練土をも流し、玉石の露出は強くなる。ただ、陰影が強く出た練塀には、意図して作ることができない美しさがある。大いなるジレンマである。


 安芸市土居廓中伝統的建造物群保存地区は、武家屋敷の地割がよく旧態を保持しているとして国の重要伝統的建造物群保存地区に選定(平24.7.9)されている。
 武家屋敷地区では、屋敷と街路、屋敷と屋敷との境に生垣や塀が並ぶ。町並み景観としても塀や生垣の印象が強くなるためその保存は重要。しかし、直接生活に用いられるものではないため、この塀のような手の込んだつくりは維持が難しくなっているかもしれない。

Related Post

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。